蝉鳴く季節に…
そうしてずっと、頭の中では……あの女の子を見つめる杉山くんが離れない。

優しく触れていた指先が離れないの。










特別、なんだね。


杉山くんにとって、あの子は特別なんだ。






見ればわかる。


大切じゃなきゃ、あんな風に見つめないよ。









いいじゃない。

それは杉山くんの問題だもん。










言い聞かせても言い聞かせても、全然気持ちはすっきりしないまま。


ベッドに横になり、杉山くんの事を考えながら……いつの間にか私は眠っていた。















朝、六時に目が覚めた私は、鏡に映る自分の顔を見て学校を休む事にした。





水分を含み過ぎたスポンジみたいな顔に、思わず笑った。



笑いながら、杉山くんがかわいいって言ってくれた事を思い出してた。








今の私の顔を見たら、お世辞でも言い渋る言葉だろうね。








梨絵と恭子に休むメールをして、再び眠った。











夜七時くらいに、梨絵が来てくれた。



むくんだ私の顔に、口元をひきつらせて堪えていたけれど。




.
< 54 / 131 >

この作品をシェア

pagetop