蝉鳴く季節に…

それについては、正直自信が無い。


話をしても、素直に杉山くんの声や言葉を受け入れられるのかさえ……。






どうしても、あの女の子の姿が離れない。

杉山くんの、あの表情も……。





自分が惨めになりそうで、それでも杉山くんに期待してしまう自分が嫌になりそうで……。






私が出した答えは………。







「……行かない」

「行かない？」

「うん、いつまでかはわかんないけど…せめて自分が落ち着くまでは会わない」





そっかぁと、梨絵は瞳を伏せて小さなため息をついた。



「千秋がそう決めたなら、それでいいと思うよ。でもくれぐれも自分が辛くなる様な結果にはしないでね？我慢はしなくていいんだからね？」

「うん、ありがと。梨絵」







その時の私には、わからなかったんだ。




“しばらく行かない”



しばらくなんてのんびり構えていられる程、時間は優しく無いって事。











杉山くん。



私はあの時、故意にあなたとの時間を削ってしまったんだろうね。






今気付いても遅いけれど…一生懸命だった事は、嘘じゃないよ？