蝉鳴く季節に…
次の瞬間の言葉は…弾んだ呼吸と共に梨絵の口から吐き出された言葉は……。









「…杉山……ヤバイらしい……」









…………え?







「梨絵…今…何…」

「杉山、病状が悪化してるって…」



悪化って………。





「…何?…それ、どういう…」

「わかんない、わかんないけど…部に矢代っていて…杉山の親友なんだけど…先輩と話してるの聞いたんだよ」






ヤバイって、何?

だって、一週間前は元気そうだった。

普通にベッドから起き上がってたよ。

ヤバイって、どんな?

どんな風になるとヤバイってなるの?




わかんない………何?


どうなってるのかな。


梨絵の話、よくわかんないんだけど………。








「千秋」







ぐるぐる…めまいがしそうな頭の中……。







「千秋ってば!」








……肩を揺さぶられた。


倒れそうになりながら、顔を上げた。







恭子?









「千秋!もうさ、杉山に女がいるとかいないとか、どうでもいいよ!そんなの考えなくていいよ!」




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