蝉鳴く季節に…
恭子……。






「千秋は会いたいでしょ?杉山に会いたいんじゃないの?そんなの見ててわかるよ!」





会いたい……?









会いたいよ?

会いたい。

ずっと会いたかったよ。

話がしたくて、声が聞きたくて…笑顔が見たくて……。

懐かしくなるくらいに、会いたかったよ。










…………考えなくていい。

杉山くんとあの女の子の関係なんて、考えなくて良かったんだよ。


私、自分に都合の悪い現実を知りたくなくて……逃げてただけだったんだよ。





逃げてばかりいたら、何も変わらない。


変えたいなら………自分から動かなきゃ!









「行って来る。私、杉山くんに会いたいから…会いに行く!」








ホッとした様に笑う恭子。

走って行けと叫ぶ梨絵。









私は、走った。



ただ、まっすぐに。







どうか…杉山くんが元気でいてくれますように……!





祈りながら、祈りながら。






走ったんだ。









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