蝉鳴く季節に…
うつむく私の頭に重みが乗った。


ほんのり温かくて、心地良い重み……。







「変な奴、水谷って」







杉山くんの手だった。








「何にも悪くないのに謝るんだ」







だって私、何にもできないんだよ?


ここに来ているのだって、自分の為なんだよ?


私はいつも自分の事ばかりで、杉山くんから与えてもらってばかりで、ちっとも役に立てなくて…。




なのに期待ばかりしてしまう……子供なんだ。




今だって杉山くんに甘えてる。

優しさに甘えてる。





情けなくて情けなくて…悔しい…。









「ごめん…なさい」

「謝られる理由がわかんねぇ」






だよね…。


自分でもわかんない。

こんな訳わからない自分も情けない。




杉山くん……困ってるよね。









うつむいていた顔を少し上げて、前髪越しに杉山くんを見てみた。





「よくわかんねぇけど、そんな顔すんなよ」





大きな手が、私の髪をくしゃくしゃと撫でた。





どうして……そんなに優しいの?




優しすぎて、泣きたくなるよ。
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