蝉鳴く季節に…
「まぁ…よくわかんねぇけど多分、俺にも原因あるのかも」

「違うよ!杉山くんは悪くないよ」

「って言うか、俺も水谷も悪くないのかもよ?」






杉山くんは笑った。

子供みたいな、無邪気で悪戯っ子みたいな笑顔。








何だろ。

杉山くんがそんな風に笑うと、なぜかすぅっと気持ちが軽くなる感覚がある。









「…そう…なのかな」

「そうだって!少し落ち着けよ。ほら…月が綺麗だしさ」





言いながら、杉山くんは窓の外を指差して笑う。




月?




つられ、視線を窓に移した。







空にはまだ、夕焼けの名残がうっすらと残っている。






「月、どこに出てるの?」

「そこからじゃ見えないよ。この位置からなら見えるかも」






杉山くんは、ベッドの端をポンポンと手の平で叩いて示している。


あぐらをかいて座る、杉山くんの前。





「早く座って見ないと霞みそうだけど?」




え?月って霞むの?






「あ〜…霞んでく…せっかく綺麗な月なのになぁ」

「え?!」




そんなっ!


ちょっと待って!




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