蝉鳴く季節に…
手に握りしめた冷えたジュースの缶、湧き出る冷たい水滴が私の指をつたい、無機質な病室の床に水溜まりを作っていく。
風が、カーテンを踊らせる。
………蝉の声。
気が遠くなりそうな……高い……声……。
「……………ごめん」
沈黙を破ったのは、杉山くんの呟く声だった。
「ごめん、変な事聞いてさ。わかんないよな?」
「……………」
どう答えていいのかわからない。
私は、瞳を伏せた。
わかんない………わかんないよ。
「ジュース、温まっちゃうよ?」
杉山くんが笑った。
私は、握りしめた缶を見つめた。
冷たくて、手の平の感覚すらもわかんなくなってる。
「貸して」
うつむく視界に伸びてきた、杉山くんの腕。
白くて細くて…青い血管が浮き出てる腕。
「まだ…冷たいよ?」
私は、濡れた缶をその広げられた手の平に乗せた。
………重く…ないかな?
風が、カーテンを踊らせる。
………蝉の声。
気が遠くなりそうな……高い……声……。
「……………ごめん」
沈黙を破ったのは、杉山くんの呟く声だった。
「ごめん、変な事聞いてさ。わかんないよな?」
「……………」
どう答えていいのかわからない。
私は、瞳を伏せた。
わかんない………わかんないよ。
「ジュース、温まっちゃうよ?」
杉山くんが笑った。
私は、握りしめた缶を見つめた。
冷たくて、手の平の感覚すらもわかんなくなってる。
「貸して」
うつむく視界に伸びてきた、杉山くんの腕。
白くて細くて…青い血管が浮き出てる腕。
「まだ…冷たいよ?」
私は、濡れた缶をその広げられた手の平に乗せた。
………重く…ないかな?