意地悪上司の笑顔の裏は。

私は文具メーカーであるシオザキコーポレーションの総務部に勤務している。私のいる庶務課第一係は事務一般を受け持っていて、割と忙しい。
社内の掲示物から新作の広報誌まで、社内外の情報には敏感な係だ。

その第一係の係長にこの4月で着任したのが、中途採用の山上係長で。

32歳という若さと、あの爽やかさに女子社員の目は釘付けになった。
どこか大手の企業からヘッドハンティングされたらしいという噂も納得。無駄が無い働きをする人だ。人の使い方も上手だし、心を掴むのも早かった。


あっという間に、彼はこの会社に馴染んだし、人気者になった。


けれど、何かが違うんです。
いや、これが原因!とはっきり言えるわけではなくて。口にしていいのかもやもやする。

これは私の予想だけど。

私だけ、扱いが変だ。


他の社員には褒め殺しのように声をかけるのに、私だけ一度も褒められない。
それどころか、さっきみたいな小さな小さなミスをチクッと指摘してくる。超笑顔で。


なんで。
どうして。
私だけ。



< 3 / 17 >

この作品をシェア

pagetop