人間ドール《短編ホラー》
振り返ると七瀬が自転車に乗ってこちらに向かってきていた。

「七瀬、今日部活無かったのよね?随分遅い帰りだねー」
携帯電話の時計を見るともう8時を越えていた。
「そ、そうか?部活の奴らと遊んでたんだよなー」
ケラケラ笑いながら言った。
「そう言うお前もこの時間まで何してんだよ、他の奴らは?」
「あー皆大神の家に行った。」
「そうか。夜はあぶねーよ送る」
自転車の後ろを指さして「乗れ」と言ってきた。
私がまたがると七瀬がいきなり漕ぎ出したのかビックリして七瀬の体にしがみついた。
フワッとラベンダーの香りがした。
「おい、バカ弥生くすぐってーよ」
七瀬がもぞっと動いた。
「は!ごめん」
私が手を離そうとするとそれを止めた。
「弥生絶対離すなよ」
「七……」
七瀬の耳が真っ赤になっていたのをはっきりと捉えた。
私も一気に赤面になりギュッと体を締め付けるように抱きしめた。
「好き……好きよ七瀬……」
「は!?え!?」
七瀬はビックリして自転車を停めた。
「やめろよ……急に……照れる……。」
その顔は夕日が照ったかのように真っ赤に染まっていた。
「えへへ。七瀬真っ赤。」
そう言う自分も真っ赤な癖に……
「う……意地悪する弥生はきらーい」
とプイと七瀬は拗ねた
「え!」
ガーンえ!嫌いって言った!?
「えっえっ嫌いにならないでよもう意地悪しないから!」
チュッ
!?
「……ん……七瀬」
「ふっお返し。これでチャラにしてやるよ」
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