では、同居でお願いします
あまりにもの散らかりように唖然とした日、忙しく片付ける私とは対照的に服だけを運んで終わっていた裕哉の姿が甦る。

(このままではあの日から何一つ進歩していない!)

変わっていないことが嬉しかったけれど、これはまるでデジャヴのようだ。

あの日、私の部屋にと宛がってくれた部屋を開けた時の絶望感もジワジワと甦ってきた。

荷物が届くというのに、全く片付いていない部屋を見たときの衝撃たるや、今でも青ざめそうになる。

ふとあの部屋はどうなったのか気になってドアを開けた。

相当覚悟して。

溢れんばかりの荷物の山と、下手をしたらキノコでも生えているのではないかと、とビクビクしながら中を覗き込んだ私は、息を呑み動きを止めた。


部屋は、ガランとして綺麗なままだった。


この部屋だけは何一つ浸食を受けずに、私が出て行った時のまま、綺麗な状態で残されていた。


「裕ちゃん……」


なぜだかわからない。

部屋を見た途端、胸が苦しくなって涙が零れた。
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