では、同居でお願いします
一番近い言葉なら、それは「喪失感」だ。
いっそごちゃ混ぜのカオスな部屋に戻っていたのなら、こんなに胸の奥で風が吹きすさぶことはなかっただろう。
楽しかった日々を過ごしていた時間の欠片が、この部屋にはまだ残ったままだと、そう感じてしまった。
泣いてはいけないと思えば思うほど、涙が後から後から押し寄せ、どうしても泣きやむことができず、呆然と立ったままで私はぽろぽろと涙を落としていた。
「み、海音ちゃん!? どどど、どうしたの?」
服を運び終えた裕哉がリビングに戻ってきて、立ったまま泣いている私を見つけて動揺している。
――大丈夫、なんでもないよ。
笑って言わなくちゃと思うのに、涙が止まらず、ヒックヒックとしゃくり上げる声しか出てこなくて、裕哉は更にオロオロと動揺してしまう。
「海音ちゃん」
不意に裕哉が私を抱きしめた。
温かくて大きくて、頼りがいのある腕の中に包み込まれて、驚くと同時に胸が痛くて、それでもやっぱり嬉しくて、私はじっと身動きを止める。