では、同居でお願いします
「夜はご飯食べてから送るよ。何か食べに行こう」

提案してくれた裕哉に、私は首を振った。

「何か作るよ。裕ちゃん、ずっと外食じゃないの?」

「作ってくれるのは嬉しいけど、海音ちゃん、疲れているでしょ。その……結構片付けしてくれたし」

結構というか、ほとんどの部分を片付けたのは私だ。その辺りの自覚はあるらしい。

「遠慮しないでよ。作るよ」

「本当? じゃあ僕が手伝う――」

「そこは遠慮してくれていいから」

「だって海音ちゃんのためなら、僕はなんでもしてあげたいんだよ」

どうしてそういうことをサラリと言うのだ、と脱力してしまった。


この人は本当に扱いに困る。

弟のように無邪気かと思えば、甘やかそうとしてきたり、どう対応をとるのが正解なのか迷ってしまう。

結局、私は「はい、ありがとう」と笑うことしかできなかった。



帰りにマンションまで送り届けてくれた裕哉の車から降りてすぐ、背中から声をかけられた。
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