では、同居でお願いします

いきなり過ぎる話題だ。

確かにお付き合いすることは了承したけれど、今日からとも今週末からとも、何も決めていないはずなのに……。

今夜食事に誘ってくれたのは、そんな諸々を決めるためではなかったのか?

(どうしてこうなってるの!?)

裕哉を安心させるため、との名目である以上、報告はしなければいけないけれど、何も今しなくてもいいではないか。

しかもまだ決めてもいないことなのだ、どうして諸岡さんはそんなことを言い出したのか全くわからない。

目を見開き諸岡さんの横顔を呆然と見つめる私に、裕哉が低い声で尋ねた。

「井波さん、これは本当のことですか?」

詰問口調の裕哉が怖い。

(これは……怒っている?)

冷や汗が背中を流れ落ち、私は強ばった顔のまま口を動かそうとし、うまく言葉が出てこなかった。

今朝、彼氏はいないと言ったくせに、どういうこと? と裕哉は思っているのかもしれない。

もしくはせっかく心配していたのに、騙されたとでも思っているのだろうか。

見つめる視線が鋭く、心臓まで射抜かれているようだ。
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