では、同居でお願いします

事情はわかった、と裕哉は睨み付けた眼差しを緩めずに諸岡さんに告げた。

「つまり海音ちゃんが仁と付き合えば、僕が安心できると……そういうことで間違いはないか?」

「はい」

頷いた諸岡さんに、裕哉は重い溜息をこぼす。

結局、諸岡さんが説明してくれたが、裕哉が彼女とお付き合いをすすめるためとの一言は告げなかった。

そんなことを言えば、逆に裕哉に負担をかけるからと判断したのだろう。

ただ一人暮らしを心配する裕哉のために、諸岡さんが付き合いを申し出たと、そう説明した。

けれど裕哉の怒りのオーラは全く収まる気配がない。


「仁……」


はああ、と大仰な溜息をもう一度吐き出した裕哉が、諸岡さんの肩に手を乗せた。

「気持ちはありがたいが、的外れだ。先読みの仁と呼ばれたおまえが、ここまで的外れなことを考えるなんて驚いたよ」

(先読みの仁って……ダサイ!!)

なんだその二つ名は!

諸岡さんの先読み能力は高いけれど、その二つ名はいけてなさすぎる。

そんなダサイ二つ名を付けられている諸岡さんは、さも不服そうに眉根を寄せた。
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