では、同居でお願いします
「何が的外れでしょうか? 私は社長のことを毎日見ております。そして社長のご心配が井波さんに向けられていることを知っていおります。ですので私が井波さんとお付き合いすれば――」
「仁、そんな気持ちで誰かと付き合うのはダメだよ」
「……は?」
「仁が本当に心から好きになった相手と付き合うべきだ。義務のように付き合いを始めようとするなど、仁にとっても海音ちゃんにとっても、失礼で不幸なことだ」
恋愛経験が豊富なのだろうか、裕哉は諸岡さんを諭す。しかし諸岡さんは間髪容れずに言い返した。
「それならばご心配に及びません。私、井波さんに対しては好意を持っています。有り体に言えば、私が一生守りたいと思っています」
「はああ!?」
素っ頓狂な声をあげたのは、もちろん私だ。
(好意? は? 聞いたことも見たこともないのですが!?)
嫌われているとは思っていないけれど、上司と部下以外の感情などどこにもないではないか。今だって、とても告白とは思えない感情の籠もらない話し方だ。
しかも一生とか、重い!!
「仁、待って……。話がついていけない……」
よろりと裕哉がデスクに手をついた。
――ですよね。
私もついていけていませんから、気持ちはわかります。
「仁、そんな気持ちで誰かと付き合うのはダメだよ」
「……は?」
「仁が本当に心から好きになった相手と付き合うべきだ。義務のように付き合いを始めようとするなど、仁にとっても海音ちゃんにとっても、失礼で不幸なことだ」
恋愛経験が豊富なのだろうか、裕哉は諸岡さんを諭す。しかし諸岡さんは間髪容れずに言い返した。
「それならばご心配に及びません。私、井波さんに対しては好意を持っています。有り体に言えば、私が一生守りたいと思っています」
「はああ!?」
素っ頓狂な声をあげたのは、もちろん私だ。
(好意? は? 聞いたことも見たこともないのですが!?)
嫌われているとは思っていないけれど、上司と部下以外の感情などどこにもないではないか。今だって、とても告白とは思えない感情の籠もらない話し方だ。
しかも一生とか、重い!!
「仁、待って……。話がついていけない……」
よろりと裕哉がデスクに手をついた。
――ですよね。
私もついていけていませんから、気持ちはわかります。