では、同居でお願いします
しかしさっきから二人の話が全くわからない。
(名人って……あの佐和乃さんという彼女のお父さんは何かの名人なのだろうか)
「でもさ……ちょっと騙された感はあるし……彼女自身も……」
ブツブツと口の中で文句をつける裕哉の矛先が諸岡さんに向かう。
「仁はいいよな。外見とのギャップがないのか、部活でフラれたことないもんね」
「それは先輩が部活にのめり込み過ぎたからです。休みも部活、放課後も部活、それで女性とお付き合いできるわけがない」
なんだかんだで裕哉がプライベートモードだ。
そうなると諸岡さんの方がずっと大人で落ち着いている。しかも裕哉は完全に言い負かされ、続く言葉が出てきていない。
「いいですか、先輩はここぞと言うところでいつも押しが弱い。粘りの柳井が恋愛方面では滅法弱い。ですから後押ししているんです。今回は逃してはいけません」
「でも僕は……」
反論しかけた裕哉が、ふと何かを思いついたように目を大きく呟いた。
「そうか……逃しては……そうなんだ、逃したらダメなんだ」
「先ぱ……社長? どうしました」
諸岡さんは途中で今まで「先輩」と呼んでいたことに気がついたようで、社長と呼び変えた。
(名人って……あの佐和乃さんという彼女のお父さんは何かの名人なのだろうか)
「でもさ……ちょっと騙された感はあるし……彼女自身も……」
ブツブツと口の中で文句をつける裕哉の矛先が諸岡さんに向かう。
「仁はいいよな。外見とのギャップがないのか、部活でフラれたことないもんね」
「それは先輩が部活にのめり込み過ぎたからです。休みも部活、放課後も部活、それで女性とお付き合いできるわけがない」
なんだかんだで裕哉がプライベートモードだ。
そうなると諸岡さんの方がずっと大人で落ち着いている。しかも裕哉は完全に言い負かされ、続く言葉が出てきていない。
「いいですか、先輩はここぞと言うところでいつも押しが弱い。粘りの柳井が恋愛方面では滅法弱い。ですから後押ししているんです。今回は逃してはいけません」
「でも僕は……」
反論しかけた裕哉が、ふと何かを思いついたように目を大きく呟いた。
「そうか……逃しては……そうなんだ、逃したらダメなんだ」
「先ぱ……社長? どうしました」
諸岡さんは途中で今まで「先輩」と呼んでいたことに気がついたようで、社長と呼び変えた。