では、同居でお願いします
「社長、待ってください。その役目は私の役でしょう」

速攻で諸岡さんが反論するが、裕哉も負けていない。

「いいや、僕だね。僕は海音ちゃんの親代わりなんだ。心配して送るのは当然だよ」

「しかし！　私たちは付き合いを――」

「お父さんは認めない。だって海音ちゃんがはっきりと付き合うって言ってないもん！」

（裕ちゃん、口調！　語尾が子どもに！！　）

いい大人が、もん、とか語尾につけるとかどうなのか。しかも社長ですよ、この人。

裕哉の言っていることはどうにも支離滅裂だ。

（何がお父さんは認めないですか！　あなたお父さんじゃないですし、認めるとか認めないとか、どういうこと？）

困惑する私に向かって、諸岡さんは眼鏡を押し上げながら問いかける。

「お付き合いくださると快諾くださいましたよね？」

（威圧感！！　めちゃくちゃ威圧されてます！）

北町奉行の金さんが片肌脱いで桜吹雪を見せつけているような威圧感を放つ諸岡さんに顔が引きつってしまった。

「ほらあ、海音ちゃん困ってるじゃないかぁ」

完全に子ども口調になっている裕哉に対しても、諸岡さんは容赦なく威圧する。
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