では、同居でお願いします
恥ずかしくないようにありたい。

裕哉に褒めてもらえるような私でありたい。

私は諸岡さんに「すみません」と再び頭を下げた。

「諸岡さんが社長のことを考えてお付き合いを申し出てくださっているのは理解しています。でも社長の言ったことは真実だと思います」

間近で見つめてくる諸岡さんの眉根が寄せられる。

「社長の言ったことが……真実?」

「はい。こんなふうに嘘でお付き合いを始めるのは、やはり間違っていると思います。ご提案下さった諸岡さんのお気持ちを無下にするようで申し訳ありませんが、お付き合いするのはやはり――」

「ダメですよ」

「え?」

話の途中で諸岡さんがグイッと距離を詰め、両手を伸ばし壁に私を囲い込んだ。

そして怒ったような眼差しで私を見下ろす。

「一度承諾いただいた案件について、撤回はありません」

(って! だから、それ商談の時の口調ですよね? これから付き合うとかの男女の会話じゃないです! それに近くて怖い!)

いわゆる壁ドン状態だけれど、威圧感が半端ない!
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