では、同居でお願いします
「もう……仕方ないなあ。裕ちゃんの世話は私がずっとするしかないよね」

「うん、お願いします」

犬がご主人様に構ってもらったような、嬉しそうな様子で笑った裕哉に突っ込む。

「半ば呆れてるの。でも、そんな裕ちゃんも好きだから、私も大概だね」

「僕も大好き」

小学生でもそんな無邪気に言わないだろうと思えるほど、天真爛漫に裕哉は告げて笑った。

(本当に、子どもだね)

フフッと笑った私の手を取り、裕哉は「行こうか」と促してくれる。

繋いだ手は暖かく私の小さな手を包み込む。


裕哉となら、歩いて行けそうだと思える。


(一歩前に踏み出せそうな気がするよ。少しだけゆっくり歩いてくれる?)

私は裕哉に引かれるまま歩き出し、部屋の扉を閉めながら確信する。


この恋は……一生続きそうだと。

どうか一生続いてくださいと、願う。


そうして私たちは食事のために、夜の街へと向かった。
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