では、同居でお願いします
「たとえ将来のことを考えていても、独身の男女が同じ部屋に住むのはモラルとしていいことじゃないって。親にも許可をちゃんともらってからじゃないとできないって」

考え方が古いと言われるかもしれない。

前は一緒に住んでいたんだし今更と思われるかもしれない。

けれど以前は住む場所もなかった緊急事態に「従兄弟」と「同居」だったから、良かったのだ。

それが今は「好きな人」と一緒に住む、となるとそれは「同棲」ではないか。

それならば、きちんとお互いの親に許可をもらい、順序立てて話を進めるべきだ。
と思っていたのに、裕哉は私の話を聞き終えるやいなや、スマホを取り出している。

「じゃあまず海音ちゃんのとこから電話するね」

「そういうことじゃない!! 順序!!」


ここまで言ってもわからないのか!


叫びそうになる。

「あのね、どれほど簡単に考えているかわからないけど、こういうのはちゃんと順序があるでしょう? まず私が両親に『紹介したい人がいるの』みたいなのから始まって、両親が『まあ、どんな方!?』みたいになって」

「でももう僕のこと知ってるよね? それこそ生まれた時から」

「……まあ、そうだけど。いやいや、それから『結婚前提でお付き合いをしたくて』みたいな挨拶があって」

「あ、それなら昨日、もう電話でおばさんとおじさんには伝えたよ」


「…………え?」

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