では、同居でお願いします
強く大きな手が私の体を包み込む。

「海音ちゃん、無理してない?」

優しい声だ。

私を気遣い、私のことを想ってくれている裕哉の声に、ジンと胸が熱くなる。

「……無理じゃないよ。私、裕ちゃんなら何も怖くない。もっと側にいて一緒にいたい。だって……心から大好きだから」

「僕も好き。どうしようもないほど好きなんだ。ずっとこうして抱きしめたかった。一緒に過ごせる時間がどれほど大切かって、海音ちゃんがこの部屋を出て行ってから痛いほど実感した。だから……もう離れないで欲しい」

「うん、私を離さないでね」

裕哉の腕の中で静かにそう告げた時、裕哉は一瞬呼吸を止めた。

それからゆるりと息を吸い込み、いつもより低い声で囁いた。


「キスは……してもいい?」


そんなこと、確認してくれなくてもいいのに。

気遣ってくれる裕哉に少し申し訳なく思いながら、私はコクリと頷く。

(裕ちゃん、きっと私……裕ちゃんなら全てを手渡してもいいって……今でも少し思っているよ)

でも、少しだけ待っていてください、と。

心で許しを請いながら、私たちは唇を重ね合わせた。


甘い蜂蜜の中を泳ぐような、そんな甘すぎる口づけを交わした。

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