では、同居でお願いします
翌々日の日曜日。
裕哉は朝からいそいそと準備を整え、なにやら慌ただしく出かけていってしまった。
これまでの裕哉の休みの日の過ごし方は、イベントや付き合いがない時は、仕事の資料を読み込んだり、関係書籍や情報を集めたりと、ワーカーホリックの見本のようだった。
こんな風に幾分ラフな格好で出かけるところは始めて見た。
今度は確信する。
デートだろうな、と。
「だったら、やっぱり私は身代わりだったんだね」
呟いて自嘲してしまった。
惨めになるのに、わざわざ自分で声に出してまで言うなんて、愚かしい行為だ。
あの日、酔って帰ってきた裕哉に抱きしめられた日から、自分の立ち位置が耐え難いほどの痛みとなって心を突き刺してくる。
掃除機をかけ、洗濯を全て干し終えたら、もう昼過ぎだった。
なぜか空腹を感じない。多分、感覚が麻痺しているのだろう。
心の痛みを回避するように、自己防衛しているのかもしれない。
「やっぱり部屋、探さなきゃ……」
このまま一緒に住み、毎回裕哉の外出のたびに苦しむのは耐えられない。
家政婦でいることに、もう限界を感じてしまっている。