では、同居でお願いします
結果は残念ながら、ボロアパートは既に入居者が決定していた。
その代わりにと紹介されたのは、駅からかなり歩き、築年数も古いが、そこそこ綺麗な外観のワンルームマンションだった。
最初の予算よりは値上がりだったけれど、なかなか良い物件だと判断し、とりあえず仮押さえをしてもらった。
物件が見つかってホッとしている気持ちと、裕哉と離れてしまうことに不安もあり、複雑な気持ちになる。
帰り道を歩く足取りは、とても重たく感じてしまっていた。
マンションに帰り着いたけれど、夕飯の買い物に出るか少し迷いながらソファーに座る。
もしデートなら晩ご飯は食べて帰ってくるだろう。
(これから、こんな風に待つことが多くなるんだろうな)
そう思えば、やはり部屋が見つかってよかったと思う。
それなのに、考えるのは裕哉の世話をすることばかり。
洗濯物を取り込んで片付けてしまえば、やはり落ち着かなくてそわそわとしてしまう。
「うん、念のために買い物だけ行っておこう」
夕食が不要だとは聞いていないから準備だけして待っていよう。帰ってきた時、がっかりさせたくない。そう考えて時計を確認すると、間もなく六時になろうとしていた。
胸の奥にわだかまる重い気持ちを振り払うように、勢いをつけて立ち上がると、マンションの目の前にあるスーパーへと出かけた。