では、同居でお願いします


結果は残念ながら、ボロアパートは既に入居者が決定していた。

その代わりにと紹介されたのは、駅からかなり歩き、築年数も古いが、そこそこ綺麗な外観のワンルームマンションだった。

最初の予算よりは値上がりだったけれど、なかなか良い物件だと判断し、とりあえず仮押さえをしてもらった。

物件が見つかってホッとしている気持ちと、裕哉と離れてしまうことに不安もあり、複雑な気持ちになる。

帰り道を歩く足取りは、とても重たく感じてしまっていた。


マンションに帰り着いたけれど、夕飯の買い物に出るか少し迷いながらソファーに座る。
もしデートなら晩ご飯は食べて帰ってくるだろう。

(これから、こんな風に待つことが多くなるんだろうな)

そう思えば、やはり部屋が見つかってよかったと思う。
それなのに、考えるのは裕哉の世話をすることばかり。

洗濯物を取り込んで片付けてしまえば、やはり落ち着かなくてそわそわとしてしまう。

「うん、念のために買い物だけ行っておこう」

夕食が不要だとは聞いていないから準備だけして待っていよう。帰ってきた時、がっかりさせたくない。そう考えて時計を確認すると、間もなく六時になろうとしていた。

胸の奥にわだかまる重い気持ちを振り払うように、勢いをつけて立ち上がると、マンションの目の前にあるスーパーへと出かけた。
< 40 / 233 >

この作品をシェア

pagetop