では、同居でお願いします
何度も何度も面接に落とされてきた私は、痛いほどわかっている。


――自分は無価値。


そんなことわかっている。

今の仕事だって裕哉のお情けでいただいているだけで、私が必要とされているわけじゃない。
それでも職を与えてくれた裕哉のために精一杯尽くす気持ちは大いにある。

それにこの仕事は最初に希望していたIT系なので、秘書として働いていても、得るものも多く、今回のように資料を揃えるだけでも勉強になる。

直接開発などに関わるわけではないけれど、こんな恵まれた就職先はないかもしれない。

「でも、裕ちゃんの方が要らないと言うなら、私がここに残ることはできないもんね」

独り言があてもなくこぼれ落ちた。


裕哉は優秀なリーダーで、決して部下に無理を言わない。
彼の秘書なら、どんな人にでも容易く務まるだろう。

そう思えば、一層自分が情けなくなる。

もっと自信を持って、裕哉の役に立っていると自負できていれば、こんなに落ち込むこともないのにな、と我が身の至らなさに泣きたくなってしまった。

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