では、同居でお願いします
「あと四日しかないけど、その間は僕が家事をする! これなら役立つよね!」
「やめて! それだけはやめて!」
またとんでもないこと言い出した。
なんか「良いこと思いつきました!」みたいな顔をしているけれど、これはダメだ!
家事能力どころか生活能力ゼロの人がいきなり家事するとか、なんと恐ろしいことを言い出すのか。
今までの私生活をぜひ振り返っていただきたいものだ。
そこから導き出されたのがこの答えならば、解析能力ゼロとしか言いようがない。
こめかみが痛くなってしまい、手のひらを額にあてた私に、裕哉は悲しい顔をした。
「本当に出て行くんだ」
「……うん」
「止めることはできない?」
寂しげな裕哉の声に、胸が締め付けられる。
許されるのなら、いつまでだって裕哉の世話をしていたい。
この人の側にずっといて、ダメなところも子どものようなところも、全部受け入れて一緒に過ごしたい。
けれどそれを許されるのは、私ではない。
長い髪を持つ、タクシーの中にいた彼女だ。