年下くんの電撃求愛

声とともに、熱い吐息が耳朶をくすぐる。

やっとわたしを解放した鷹野くんは、何事もなかったかのように、悠然と個室を出て行った。

ガチャリ、と音を立てて、ドアが閉まる。

その瞬間、わたしはよろけて壁にもたれ、そのまずるずると、壁に沿って崩れ落ちた。


……な、に……?ちょっと、待って。

待って。理解が全然、追いつかない。


くちびるが、熱い。体が、火照ったように熱い。残る、感触。久方ぶりの。ううん。

体験したこともないような、甘い痺れ。



「…………うそ……」



本河透子、29歳。


3ヶ月前に彼氏に逃げられ、職場では鬼ババア扱いを受ける毎日。


そして今日……王子サマ顔の年下後輩に、いきなり、くちびるを奪われました。








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