年下くんの電撃求愛
「なっ、なに」
警戒しながらたずねると、鷹野くんは笑みを崩さないまま、「はい?」と聞き返してくる。
「なんで、笑ってるの」
「え?……ああ」
鷹野くんの薄茶色の瞳が、わたしに向かって、やわらかくゆるむ。
「朝一から本河さんに会えたのが、嬉しくて」
ーーチン!!
彼の口から爆弾が投下されたところで、ちょうどエレベーターが降りてきたらしく、軽快な音が鳴った。
放心したわたしは、「どうぞ」と誘導されるがまま、鷹野くんと一緒に、せまい箱のなかに乗り込む。
せいぜい1メートル四方の面積のなかに、2人きり。え、ここは宇宙?無重力空間ですか?そうたずねたくなるほど、うまく息ができない。
酸素不足で、顔がどんどん熱くなっていく。そして。
「……ふ、本河さん」
「〜はい!?」
「食べてます、髪」
……鷹野くんは、本気で、わたしを殺しにかかる気なんだろうか。
なんの躊躇もなく、伸ばされた指。
その長い指でわたしのくちびるに触れ、上下に割り開き、鷹野くんは撫でるように、束になった髪を抜き取った。
そして、そのまま少しかがみ、わたしと目線を合わせると。
「……可愛い」
ものすごく愛おしいものを見るかのようなまなざしを向けて、トドメの台詞をのたまった。
「……っ、」
ーーチン!!
呼吸困難に陥りかけたところで、到着の音が鳴る。
フリーズしたわたしの回復を待つことなく、エレベーターのドアが開く。
「……本河さん?降りないんですか」
「あ……う、うん……〜わっ!?」