年下くんの電撃求愛
グラスに少しでもすき間ができると、次々と注いでくださる森岡さん。
ととっ、とその黄色い液体を受けながら、わたしは眉を下げて笑った。
「うあ、ありがとうございます森岡さん、でも今日はこれくらいで……」
「おうおう、そんくらいにしとけー」
ボスっと、お尻の下のソファーが揺れた。
顔を跳ね上げ、首を回す。
わたしのとなりに勢いよく座ってきたその人物は、一曲熱唱し終えたばかりの、我が支店長だった。
「あ?なんだ本河。人の顔まじまじと見て」
「いえ……」
……支店長。なんだか今、わたしはあなたからの愛を感じています。
いつもはあなたが凶暴なゴリラにしか見えないのに、今は純白の羽が生えた天使に見えます。いつもアマゾンの猛者め密林に帰れとかこっそり思ってましたほんとにごめんなさい……。
ところが、幻覚の羽が生えようが生えなかろうが、その所作はやっぱりゴリラだった。
「あん?これもう残り少ねーじゃんか」
テーブルにあったビール瓶を持ち上げ、中身の少なさに目を細めるやいなや、支店長はグラスに注ぐことなく、そのまま直にビンを口につけた。そして。
「〜わっ!?」
赤黒い顔でヒィック、と喉を鳴らしたあと、わたしの頭を勢いよく鷲掴んだ。
ちょうど手のひらサイズだとケラケラ笑いながら、わたしの脳みそを揺らしながら、支店長は、森岡さんに話しかける。
「森岡さんー!ほんとこいつなんぞにお酌してくれなくていいですからね!!もったいないですし、それにこいつ、こないだ酷かったでしょう?」
「〜そっ、」
その一言に、ぶわぁっと羞恥がわき上がる。