年下くんの電撃求愛
俺が……なに?
なに。違うって、どういうこと?
続く言葉が全く予想できなくて、わたしは眉を下げ、落ち着きなくまばたきを繰り返す。
沈黙が、十数秒あった。
「……本河さん」
顔を伏せたまま、鷹野くんがもう一度、わたしの名前を呼んだ。
「は、はいっ」
「……もう全部話すから、聞いてくれますか」
いつもより少し弱い、くぐもった声が、耳に届く。
ドキドキしながら、わたしは「はい……」とうなずいた。
……何だろう。何を、告げられるんだろう。
ものすごく、緊張してきてしまう。心臓が、体内全部を使ってバウンドしてるんじゃないかと思うほど、大きく動いている。
「……たしかに、俺はあの夜、あなたをここまで送りました。でも……」
話し始めた鷹野くんが、ゆっくりと、頭をもたげた。
触れそうなほど近い距離で、目が合う。
困り顔のわたしを見つめて、鷹野くんは、少しだけ笑った。
純粋な笑顔に、いくらか苦さを混ぜたような。切ないような、そんな笑みだった。
「でもそれが、初対面じゃないんです」
「……え?」
「それより前に……俺は、本河さんに、会っているんです」