黒薔薇
今日一日でいろいろ変わった。
まるで注目を浴びているアイドルのようだ。
裏門の方にいくとすでに、村田はいた。
「村田。ごめん。遅くなって」
僕が速足で村田に近づくと村田が顔をあげた。
「いいんだ...」
裏門には人が滅多に近づかない、裏門の方は正門から遠いし暗いから。
「それで相談って?」
聞くと、村田は手に持っていたファイルをキュッと握った。
例の桜田に似ている”春野スミレ”のポスターが入っていたファイルだ。
げ。それ常に持ち歩いてんのかな。
「な、長野くん。最近、かっこよくなったよね。」
「あ、ありがとう」
「みんなの人気者だよね」
「そうかな」
そうは言ったけれど、さっきまで思っていたことを言われちょっと嬉しい...。