黒薔薇
あんなに僕を殺そうとしたのに今度は僕に見向きもしなかった。
「行こう。長野くん」
また再び僕の手を引いて歩きだした。
どうやって帰ったのかはわからない。
気づいたときには家にいて、時刻はもう夜だった。
その日から、僕は三日ほど学校を休んだ。
母さんがひどく母親みたいな顔で心配していた。
昼間は、知らない男とあっているくせに。
メアドを交換したクラスの人からは、「大丈夫?」とか「風邪?」とか送られてきた。
適当に「大丈夫だよ。ただの風邪だから」と返信した。
桜田からのメールが無いのが少し寂しかった。