黒薔薇
ぺらっ
年数が変わった。
✖✖年4月2日
涼子も晴れて高校生だ。
町中で懐かしい本を見つけた”黒薔薇”。なんとなく涼子の雰囲気にあっていて買ってしまった。限定で黒薔薇ブレスレットもついてきた。あげたら「意味わからない」と言いながらも嬉しそうだった。
涼子の部屋にあった黒薔薇の本は兄貴からのプレゼントってことか。
5月17日
高校のときの友達を車で迎えにS大学に行ったとき、なんとなく智也っぽいやつを見かけた。違うかな?勘違いかもしれないから話しかけるのはやめた。だいぶ会ってないもんな...
6月8日
涼子の制服のスカートが短い気がする。言うと、「みんなこんなもんだよ」って言われる...。お兄ちゃんの気にしすぎか?目のやり場に困る。
7月27日
自分が変だ。なんで変かは大体予想ついているけれど。それはまずい。さすがにまずい。
血は繋がってなくとも自分の妹が好きだなんて。絶対に誰にも知られないように。抑えるんだ。
まじかよ...。
冬樹は涼子に思いを寄せていたのか。
ぺらっ
ぺらっ
簡単にページをめくっていく。
去年のページだ。
9月9日
信じられないことが起きた。
涼子が僕に「好き」と言ってきた。はじめは家族的な意味だと思ったけれど違った。
やっと、僕の気持が救われた。
9月30日
今日も涼子と車でドライブに行った。楽しんでくれていたみたいで良かった。たくさん思い出を作ろう。人には言えないけれど、二人でいられれば僕はそれでいい。