黒薔薇
屋上へ向かう階段の窓が少し空いていてそこから風が吹いてきて僕の髪を撫でた。
今日の天気は昨日と同様晴天だったが、昨日よりも少し風がある。
屋上の扉を開けると、フェンスに寄りかかりこちらを見つめている長い黒髪の人影。
「桜田…」
桜田がこちらを向いて微笑をたたえていた。
「こんにちは。長野くん」
驚く僕と違って、桜田は余裕の笑みで挨拶してきた。
「今日…来てなかったから、休みだと思った」
「うん。ちょっと用事あって」
どうやら、相良晴彦はいないようだ。
僕は、桜田の方に行きフェンスの置き石に座ってお弁当を食べ始めた。
たびたび、こうして昼休みには桜田と共に時間を過ごしていた。
静かな時間で心地よかった。