黒薔薇
柳沢さんと、原田さんの好意に泣きそうになったけれどグッと我慢して言った。
「行きましょう。柳沢さん。原田さん」
キイッ
鈍い音を立てて扉を開いた。
うっ
入って早々、異臭が鼻をつく。
「やっぱ。中にまだ薬持っているやつがいたか」
柳沢さんも原田さんも、顔をしかめる。
入ると、普通のバーだった。
本当に、漫画とかでみたことある普通のバー。
カウンターがあってその後ろにはお酒やグラスがたくさん、ちょっと暗めの照明で何席かあって...。
でも、普通のバーとは違うのは人が誰もいないこと。
「誰もいない...」