黒薔薇
雪乃が相良の亡骸に近づき、相良あ...相良あ...と泣きじゃくっていた。
相良君はもう話さない。
しばらくその光景が続いてはじめに柳沢さんが動いた。
「桜田涼子...お前を逮捕する」
桜田は安心したように笑った。
「刑事さん。はやく連れてって」
痛々しかった。
「でも俺はもう刑事じゃねえ。それに、やられたとこの出血を止めたい。どうせ最後だ。俺が終わるまでに長野と話していけ」
桜田がこちらを向く。
僕は、桜田が近づいてきても何も言わなかった。
「どうして長野くんが泣くの?」
ふふっとおかしそうに桜田は笑った。
確かに僕は涙していた。
「君が泣かないからだよ」
「ありがとう。長野くん。ここまで来てくれて。私を止めに来てくれて。でも無理だった。冬樹が好きだから」
そうだね。