黒薔薇
「…ブレスレット…私の代わり…。」
ちゃりっとブレスレットが悲しく響いた。
「長野くん…さよなら。…大好き…よ」
黒薔薇が散った。
美しく、微笑んだまま涙を一筋流して。
「桜田?!桜田、嫌だ!!目を開けてっ!僕が助けるから!!」
僕が必死に名前を何度呼んでも、もういつもの声は返ってこなかった。
美穂を捉えた柳沢さんが『くそぅっ!』と何回も床を叩いて泣いていた。
名前を何回呼んだことだろうか。
気づいたら、もう警察は駆けつけていて周りの中毒者や相良くん、それに雪乃もいなかった。
すでに冷たくなった、桜田を僕はずっと抱きしめて泣いていた。