黒薔薇
薔薇の香水がまだ、彼女を生き返らせてくれるように感じた。
警察の人がそんな僕の様子を見て、引き離すか迷っていると応急処置をした柳沢さんがきた。
「長野…。気持ちはわかるが…もう、な。」
それでも、断固として耳を傾けない僕に柳沢さんが何時間も黙って待っていてくれた。
おそらく、もう日付が変わった。
薔薇の香りは完全に消え、やっと僕は桜田を受け渡したのを覚えている。
そして、美しく桜田涼子は死んだのだった。