黒薔薇
『さっ!はいれ!!』
周囲がざわめく中、静かに転校生は教室に入ってきた。
『さー!桜田!みんなに自己紹介!』
「はい…。」
転校生は艶やかな長い黒髪を揺らせながら顔をあげる。
白い肌に黒髪がとてもよく映える綺麗な顔。
まさに美しい人。
彼女は微笑をたたえながら言った。
「桜田涼子です。」
かぼそいながらもよく通る声をしていた。
「おー!めっちゃ可愛いー!!」
「ちょー綺麗な顔」
「足ほっそい!顔ちっさ!」
クラス中の歓声に先生も満足した様子で手を叩く。
『えー!桜田はまだ学校に慣れてません!卒業間近だが、みんな仲良くするように!よろしく頼むぞ』