黒薔薇



「長野くんの両親は」






僕の言葉を促すように桜田が繰り返す。







「小学二年生のとき離婚して、僕は今母さんと暮らしているんだけど」








ちらりと桜田をみると、いつも通りの微笑で僕を見つめていた。







見られていると意識したらだんだん恥ずかしくなってきた。








「本当は、3つ離れた兄さんがいるんだけど父親が引き取ったから小2以来会ってないんだ」








微かに頬を染めて、早口でまくし立てる僕。









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