黒薔薇



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昼休み、僕は誰にも見つからないようにお弁当を隠し持って屋上へと上がった。



ドアを開けると風が気持ちいい。





屋上は誰もこないから。



誰にも殴られないし1人でいられる。






そう思ったのに。





「ん……。」





聞こえる乱れた息遣いに、ちゅっちゅっとお互いの唇を塞ぐ音。






なんだこれ!なんだこれ!なんなんだよ!





「じゃあまた今夜行く」





男の声がしてとっさに身を隠す。





ちらっと見ると、男の後ろ姿は金髪にピアスが目立つ長身で、学校一荒れているグループのリーダー相良晴彦だった。





相良晴彦は裏で薬取引もしているという噂の危険人物。

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