黒薔薇
ばしばしと背中をたたかれる。
「身長OK。顔OK。あとは筋肉つけるだけだな!」
「僕に筋肉...」
あははっとみんなで笑う。
髪の毛を切って更に世界が変わった。
友達ってこういう感じなんだ。
「そろそろホームルームじゃん?出席は取らなきゃ!じゃね涼子!長野!」
雪乃が元気よく走って行った。
教室に入ると、クラス中が僕を見て驚いた顔をしていた。
桜田が席につき僕も隣に座ると、さらにざわついた。
ホームルームが終わるとすぐに僕と桜田は囲まれる。
「うそ!ほんとに長野なの!?」
「超イケメンじゃん!」
「涼子と二人でここいい席じゃん!」
こんなことは初めてで隣を見ると桜田はただ僕をみて笑っていた。
「そ、そんなことないよ...」
僕が一言発するとみんなが耳を傾けた。
「あー!!やっぱり中身は長野だあ」
「ウケる!」
「ギャップ萌えってやつ?」
笑われたけど前の笑われ方とは違う。
楽しい笑いだ。
いつの間にか僕もみんなと同じく笑顔になっていた。