ブラックバカラをあなたへ
「お取込み中悪いんだけど、ここから出て行ってください」




私達が静まり返っている間に、誰かが来ていたようだ。




声のするドアの方を見てみると、美男子が5人突っ立っていた。




「出て行けって言われても、先に来たのは私達なんですけど」




流石、春実。




男子にも物怖じせずきっぱりおっしゃる。




「テメェ、誰に口聞いてんだよ…」




そう言った彼から、すごい殺気が放たれる。




「申し訳ございません。春実さん、もっと言い方ってものがあるでしょう」




優奈が春実に注意するけれど、春実はどこ吹く風。




そんなことはお構い無しに、金髪と黒髪の男子生徒からビシビシと殺気が伝わってくる。




おかしい。




こんな殺気、普通の人じゃ出せない。




この2人、只者じゃない。




ネクタイが赤色ってことは、同学年。




でも、こんな人たち見たことない。




こんな綺麗な人たちがいたら、噂の一つや二つ耳にするはずなんだけど。




「でもさー!この子たちすっごい可愛いくない!?」




「ほんと、美人さんだね」




「この学校にこんな可愛い子いたんだー!」




他の3人がそう口々に言うけれど。




いや、私は美人じゃないよ?




私以外は超絶美少女ですが。




と、心の中でツッコム。




「なぁなぁ!俺、滾|《たぎ》って言うんだ!でね、こっちが俺の双子の弟の薙|《なぎ》!」




「「よろしくね!」」




流石、双子。息ぴったりだ。




それに、すっごい似てる。




違うのは、目の色だけ?




てか、2人ともオッドアイ?




す、すごい…




本当にいるんだ。




それより、なぜ突然の自己紹介?




「俺は、笹原結我|《ささはらゆいが》!呼び捨てでいいから、よろしくな!あと、LIME教えてよ!」




うっわ。チャラい。




チャラすぎる。




金髪で、ピアスが1、2…9個⁉︎




しかも、舌にまでつけてる…




でも、イケメンだから、なんか余計かっこよく見える…




なんて思っていたら、




「あのさ、あんた達、出て行けだの、LIME教えろだの、自分勝手すぎ!うざい!どうせ、チヤホヤされて生きてきたんでしょうけど!」




春実が吠えた。




「ちょっと、春ちゃん、それは言い過ぎなんじゃ…」




燈の言う通り、言いすぎだ…




あの2人の殺気が余計強くなった。




「誰がチヤホヤされながら生きてるって?」




「女の人にそんなこと言われたくありませんね」




あぁ…なんか、地雷踏んじゃったんじゃないの!?




春実と、2人の間に火花が…




「そこまでにしてください。春実さんの言い分も分かりますけれど、少しそれは当たりすぎです。今回は私達が引きますので、3人ともその殺気をおさめてください」




おぉ。




この3人の中に入れるなんて、やっぱり優奈はすごい。




「でも…!」




「私の言うことが聞けないんですか?」




「うっ…ごめんなさい…」




す、すごい。




あの春実を瞬殺。




泣く子も黙るってこういう感じかな?




みんな唖然としてるし。




「とりあえず、私達は教室に戻りましょう」




優奈がそう言って、教室に戻ろうしたけれど、




「仲葉?」




何故か、仲葉が動かない。




ずっと、黙ってたから、本でも読んでたのかなって思っていたのだけれど。




それは違ったようで、何かを恐れているように震えながら立っていた。




「な、仲葉?大丈夫?どうしたの?」




私が、近寄って体を揺すってみるけど、全く動かない。




「あ…っ…ぁ…葉音…っ…」




「どうしたの!?しっかりしてよ!」




「す、すぐっ…すぐるが…!」




そう言って仲葉は気を失った。




倒れそうになるすんでの所で、私は仲葉の体を受け止めた。




みんなが、慌てる。




微かに聞こえた、仲葉の声。




優…




その名前を聞いて、自分のことのように胸が痛んだ。
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