ブラックバカラをあなたへ
自然と重い空気になってしまって、私は無言のまま身動きが取れなかった。
でも、やっと出会えたのだから何か聞かないと…
そう思い、私は一番気になっている事を聞くことにした。
「鬼龍に復讐するつもりなの…?」
恐る恐る口を開く。
それを聞いた2人の顔は、寂しさの中にも決意じみた力強さが宿っていて、2人は本気なんだと思ってしまった。
「復讐したとして、2人はそれで報われるの?」
「さあ…どうなんだろうな…」
翔平の曖昧な答えに拍子抜けする。
「復讐かどうかも分かんない。あいつらの手向け程度なのかもしれない…ただ、奴らを殺したくて仕方ないんだ…あいつらを許せないんだよ」
その言葉に、私は驚愕した。
慈悲深かった翔平が、殺したいなんてことを言うのかと。
でも、それが普通の感情なのかもしれない。
翔平でも許せないほどの事をあいつらはした。
「僕たちは、あの日から、死んだも同然なんだ。息をするのも、生きてるって実感するのも辛いんだ。だから、今度こそちゃんと死ぬって決めたんだ」
そう言いて、努めて明るく笑う育に胸が締め付けられる。
育の気持ちが分かるから、余計に痛くて苦しい。
「でもね、僕たちが先に死んじゃったら、一体誰が葉音たちのことを守ってくれるんだろうって思ったんだ。だから、先に危険なあいつらを殺してしまえばいいって思ったの。その後で、みんな一緒に死んで、あの世でまた一緒に過ごせればいいって。ね、素敵じゃない?」
「……」
……怖い。
育の満面んな笑みを見て、そう思わずにはいられなかった。
壊れてる…
目の前にいるのは、今までの2人とは全くの別人だ。
聖人のような翔平も、正義を好きでいた育も、ここにはもういない。
どうしてここまで壊れてしまったの…
お願いだから正気に戻って…
心の中の悲痛な叫びが声になることはなく、代わりにまた涙を流していた。
2人がどうしたのと言って、私の両隣に座り直す。
翔平が私の頭を撫で、育は私の背中をさすってくれる。
私は顔を覆いながら、静かに涙を流し続けたまま。
2人の優しさが、手の温もりが、悔しさと共に私の心に染み渡る。
私が2人の心を壊してしまった…
私じゃもう、どうすることもできないの…?
2人が人殺しになるのを見ている事しかできないの…?
2人の血に染まった姿を想像して、身震いをする。
だめ…そんなの絶対だめ…
私が止めなきゃ。
2人に人殺しなんて絶対させない。
でも、やっと出会えたのだから何か聞かないと…
そう思い、私は一番気になっている事を聞くことにした。
「鬼龍に復讐するつもりなの…?」
恐る恐る口を開く。
それを聞いた2人の顔は、寂しさの中にも決意じみた力強さが宿っていて、2人は本気なんだと思ってしまった。
「復讐したとして、2人はそれで報われるの?」
「さあ…どうなんだろうな…」
翔平の曖昧な答えに拍子抜けする。
「復讐かどうかも分かんない。あいつらの手向け程度なのかもしれない…ただ、奴らを殺したくて仕方ないんだ…あいつらを許せないんだよ」
その言葉に、私は驚愕した。
慈悲深かった翔平が、殺したいなんてことを言うのかと。
でも、それが普通の感情なのかもしれない。
翔平でも許せないほどの事をあいつらはした。
「僕たちは、あの日から、死んだも同然なんだ。息をするのも、生きてるって実感するのも辛いんだ。だから、今度こそちゃんと死ぬって決めたんだ」
そう言いて、努めて明るく笑う育に胸が締め付けられる。
育の気持ちが分かるから、余計に痛くて苦しい。
「でもね、僕たちが先に死んじゃったら、一体誰が葉音たちのことを守ってくれるんだろうって思ったんだ。だから、先に危険なあいつらを殺してしまえばいいって思ったの。その後で、みんな一緒に死んで、あの世でまた一緒に過ごせればいいって。ね、素敵じゃない?」
「……」
……怖い。
育の満面んな笑みを見て、そう思わずにはいられなかった。
壊れてる…
目の前にいるのは、今までの2人とは全くの別人だ。
聖人のような翔平も、正義を好きでいた育も、ここにはもういない。
どうしてここまで壊れてしまったの…
お願いだから正気に戻って…
心の中の悲痛な叫びが声になることはなく、代わりにまた涙を流していた。
2人がどうしたのと言って、私の両隣に座り直す。
翔平が私の頭を撫で、育は私の背中をさすってくれる。
私は顔を覆いながら、静かに涙を流し続けたまま。
2人の優しさが、手の温もりが、悔しさと共に私の心に染み渡る。
私が2人の心を壊してしまった…
私じゃもう、どうすることもできないの…?
2人が人殺しになるのを見ている事しかできないの…?
2人の血に染まった姿を想像して、身震いをする。
だめ…そんなの絶対だめ…
私が止めなきゃ。
2人に人殺しなんて絶対させない。