ブラックバカラをあなたへ
仲葉side




皇夜が来る。




そう聞いた時、私はなんとも思わなかった。




優|《すぐる》がいない皇夜なんて、どうでもよかった。




あれから半年も経つのに、私はずっと、優のことばかり。




家でも、学校でも、どこにいても、優のいなくなった世界は色あせて見えて。




本当は私にとってそれが当たり前だったはずなのに。



一度でも見てしまった、優との明るい世界を、私は忘れることなんか出来なくて。




何度、あの日に戻りたいと思っただろうか。




優にあんな顔させたくなかった。




なんで、あなたは死んだのよ。




自分で死ぬことなんてなかったはずなのに。




涙を流しながら、笑顔で死ぬなんて…




最後の言葉が‘‘ありがとう”、なんて…




‘‘守れなくて、ごめんね”って…




謝るのは私の方で、ありがとうって言うのも私の方なのに…




あなたは、私をおいて先に逝ってしまった。




皮肉な話ね。




私には何も言わせないだなんて。
< 11 / 106 >

この作品をシェア

pagetop