ブラックバカラをあなたへ
「春実、どうしたの…?」




「…みんなも、薄々感付いてるんでしょ?」




その言葉に、みんな黙る。





「やっぱり…」




私も、予想はしてた。




あの、貫禄。




あの、殺気。




なにより、あんな人達この学校で見たことがなかった。




噂すらない。




ということは、答えはひとつ。




「彼らが…」




また、重苦しい空気に包まれる。




みんな、口では言わないけど、気づいていた。




「でも、あの人達、私達のこと知らないみたいだったね」




「当たり前でしょ。顔、晒してないんだから」




「彼らはあの日のことを知っているのでしょうか…」




優奈がそう言うとみんな俯いてしまった。




「これから、どうしよう…」




「そんなの、極力関わらないことに越したことないでしょ」




「でも、春ちゃん…そうもいかないかもしれない…」




そう言った燈は、仲葉のことを見ていた。




「それは、どういうことですか?燈さん」




「……ううん…なんでもないの」




そう言って、燈は目を伏せる。




燈は何を伝えたかったんだろう。




気になるけど…




「それより、仲葉の看病の方が大事だよ」




私がそう言うと、




「…そうですね。私、お水でも買ってきますね」




「私、ちょっと、頭冷やしてくる」




そう言って、2人は保健室を後にした。




私は、仲葉の寝ているベッドの横に、丸椅子を2つ用意する。




「ねぇ、はーちゃん…これから私達、どうなっちゃうんだろうね…」




燈は丸椅子に座って、ポツリと呟いた。




私達の、これからかぁ。




彼らが真実を知った時、私たちのことを彼らはなんて思うだろうか。




弱者?仇?




どちらにせよ、私達はきっと、彼らに恨まれるのだろう。




もしかしたら、殺されるかもしれない。




でも、それも本望かも。




私達の大切な彼らが守ってきた、彼らになら、殺されても良いと思ってしまう。




それに、私が生きていても意味がない。




私はみんなを苦しめる存在で。




私はみんなを地獄に貶める存在で。




私は…




人殺し、で…
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