ブラックバカラをあなたへ
あれから、空き教室に行って、それぞれダラダラと過ごしていた。




時折、あの頃の私達を思い出しては、胸が痛かったけれど、この時間も悪くないかなって思った。




空き教室は、あの日から何も変わっていなかった。




机の位置も、黒板の落書きも。




それが、彼らがいたということを証明していた。




学校も終わり、私は家に帰って、自室へと向かう。




机の引き出しを開けて、彼との写真をいれている写真立てを取り出した。




あの日まではずっと、机の上に置いていたそれも、あの日からの私には胸の傷を抉る刃のように思えて。




私は、ずっと机の引き出しの中に仕舞っておいた。




でも、私はまた、その写真立てを机の上に立てる。




彼と、付き合いだした日。




その日に撮った、初のツーショット。




その写真には、幸せそうに笑う、私と、彼が写っていた。
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