ブラックバカラをあなたへ
あれから一週間ほどが過ぎたけれど、皇夜のみんなには一度も会っていない。




多分、彼らも屋上でサボったりしているのだろう。




私達はあれ以来、毎日空き教室にいた。




なんだか、懐かしくて。




ただ、ダラダラしているだけなんだけれど、それがとても心地よくて。




ずっと、このままでいたいなぁって、思ってしまう。




空き教室に行く時間は、みんなバラバラだった。




大体、いつも最初にいるのは春実で、ゲームをしていた。




その他のみんなは、何限だけか授業を受けてから来て、でも4限ぐらいまでには揃っていた。




私は、今日は1限目から空き教室に行った。




いつもの席で音楽を聴く。




空き教室にいると、なぜかすごく落ち着く。




私の音楽アプリの中には、彼と一緒に聴いていた曲ばかり。




大好きな曲ばかり。




いつも彼と向かい合わせで座って、イヤホンを片方ずつつける。




そこに、会話はないけれど、とてもとても幸せだった。




楽しかった。




時々、私と彼のどちらかが寝てしまう。




彼の寝顔は可愛くて。




いつも、大人っぽい彼も、無防備な時は子供のようで。




私は、いつも彼の頭を撫でていた。




綺麗な、サラサラの髪。




整った顔立ち。




頬張った手も、私より断然高い背も、彼の全てが私をドキドキさせた。




気持ちのいい風が、窓の隙間から入ってくる。




カーテンがヒラヒラと揺れる。




暖かい日の光…




眠くなってきて、欠伸をすると、私は机に突っ伏して、すぐに寝息をたてた。
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