ブラックバカラをあなたへ
「じゃあ、私達のこと話したから次は潤ちゃんの番ね!言いたくないことは、別に言わなくていいから!」




「はい。えっと、秀宴|《しゅうえん》学園に通っている、高校1年生です。訳あって、家出をしました…」




それを聞いてみんな驚く。




だだだだだって、秀宴学園は、県で一番を誇る頭のいい私立の高校。




お坊ちゃんや、お嬢様が通う所。




「すごい!うーちゃん、そんな所通ってるんだ!」




燈の目がキラキラしてる。




「私なんか、下の下ですけれど…」




潤ちゃんは苦笑いする。




それでも、入れるだけでもすごいと思う。




入試が大変だからね。




「私達なんか、バカ校だよ。バカ。」




春実、バカを2回も言わなくていいじゃん。




それに、私は別にバカというほどバカじゃないし…




一応、Aクラスだし。




特進だし、特待生だし。




「でも、そんないい所に通えるってことは、お金には困ってないんだよね?なんで、家出なんか…って、言いたくないよね。ごめんね」




「春実さん、色んな家庭の事情があるんです。お金があるからって、自由な人生を歩めるとは限らないんですよ」




優奈が少し強い口調になる。




多分、優奈が一番潤ちゃんの気持ちを分かってる。




同じような家庭だからだろう。




「家にいて、息苦しいのでしょう?もっと、自由になりたいのでしょう?」




優奈は、潤ちゃんに言っているはずなのに、どこか自分にも聞いているような気がした。




潤ちゃんは、コクンと頷くと、また口を開いた。




「父がとても厳しい人なんです。テストでは必ず上位に入れ、付き合っていく友達は選べ、遊びにかまけてる時間があるなら勉強しろ。




勉強はとても大切だと分かっています。でも、たまには息抜きしたっていいじゃないですか。私はいろんな人と友達になって、一緒に遊んでみたいです。オシャレもしたいです。




でも、父は、私が気に入らないことをすると、すぐ手をあげます。おかげで半袖が着れません。私は、自由になりたかった…」




そこまで言うと、潤ちゃんは手で顔を覆う。




静かに涙を流す。




優奈が潤ちゃんの背中をさする。




きっと、優奈にも当てはまる所があるのだろう。




自分のことのように考えているのだろう。




優奈の目にも涙が溜まっていた。
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