ブラックバカラをあなたへ
時間が経ち、今は3時間目。




潤ちゃんは、燈と優奈と一緒に話していた。




何を話しているのか、音楽を聴いている私には聞こえないけれど、とても楽しそうに話しているのは見て分かった。




春実はゲームをやっていて、一人でガッツポーズしたり、ムカついているのか机にあたったり、忙しそうだ。




仲葉は…うん。無表情。




本を読んでて、ニヤニヤしてるのもアレだけど。




そういえば、仲葉がどんな本を読んでいるのか知らないな。




いつもカバーをしてあるから、表紙すら見たことがない。




ちょっと暇だから、イヤホンを外して、仲葉に話しかける。




「仲葉ー」




「何?」




やっぱり仲葉が顔をあげることはない。




人の話ぐらい目を見て聞いてほしい。




呆れながらも、質問する。




「仲葉って、いつもどんな本読んでるの?」




「別に、色々よ。ミステリーや推理小説だって読むし、恋愛も、ファンタジーも読むわ」




意外だった。




ミステリーと推理小説は分かる。




でも、恋愛とファンタジーって仲葉に似合わなすぎて…




「ぷっ…くっ」




笑ってしまいそうになる。




そこをどうにか堪えるけれど。




仲葉が恋愛…




「あはっ」




仲葉の顔を見ただけで笑ってしまいそうだ。




「ちょっと葉音、何笑ってるのよ。可笑しいことなんて一つも言ってないでしょ」




「いや、ごめんごめん!だって…ぷっ…仲葉がっ、恋愛読むなんてっ…ひっ…もう、無理!あはははっっ!」




笑いが止まらない。




お腹が痛い。




私は夢中で笑っているため、仲葉がプルプル震えているのに気づかない。




「…い、いいでしょ別に…恋愛小説、読んだっていいでしょ…!」




「仲葉!?ご、ごめんってば!怒んないでよ!」




仲葉の顔が明らかに赤い。




本で顔を隠してるけど、耳まで赤かくなっているためバレバレだ。




照れてる。




仲葉が照れてる。




可愛いっ!




私は静かに物を出す。




そしてーーーーパシャ




頂きましたぁぁぁ!




可愛いよぉ!




待ち受けにしたいぐらい可愛い!




変態ってことぐらい分かってるけど!




「ちょ、ちょっと!何を撮ったのよ!消しなさいよ!」




「えー。やだよ。これは、永久保存版なんだから」




「お願いだから、消しなさいよぉ〜!」




仲葉が涙目になったところで、もう一枚パシャリ。




そしたら、仲葉が耐えられなくなったのか、私の方に近づいて携帯を取ろうとする。




が、私はそれを器用に避ける。




「なに避けてんのよ!取られなさいよ!」




「いやいや!取られるわけにはいきませんって!」




携帯取られたら、何するか分かったもんじゃない。




絶対、どっかに捨てたり、踏みつけられたりしそう…




流石に、椅子に座ったままでは取られてしまいそうだから、立ち上がって教室中を逃げ回る。




そんなこんなで、私と仲葉の謎の激戦?が繰り広げられていた。
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