ブラックバカラをあなたへ
もう少しで夢の国へ行けそうな感じったのに、誰かが私の前の席に座った音で頭が冴える。




気にはなるものの、眠気は健在なので顔はあげない。




ずっとこうしていると、相手はイライラしたのか、ちょっと怒った口調で、




「おい、てめぇ何もんだ」




そう言うもんだから、葉音様だっ!と言ってやった。




頭の中で。




まぁ、相手にしては無視という見方もとれる。




というか、無視されたとしか思えないだろうね。




声で分かったが、これは碧斗だ。




短気な彼はもう頭が噴火するぐらい怒ったのでは。




そう思って、顔をあげてみると、そこには間近に碧斗の顔が。




って、イケメンすぎてーーーーーー




ぼっ




碧斗の頭ではなく、私の顔が噴火する。




なんで、こんなイケメンなんだよ!




くそ悔しい!!




憎たらしい!!




「ち、ちちちちち近いってば!!てか、なんであんたがここにいるのよ!ここは、私のテリトリーでしょ!」




早くどこかに行ってくれー!




恥ずかしくて死ぬぅぅぅ!




手で顔を隠したいけれど、何故かそれをしたら負けを認めたみたいでちょっと悔しいため、睨みつける。




赤い顔でやったって意味はないのだろうけど…




「あ?テリトリーとか知らねぇよ。それより、さっさと俺の質問に答えろバカ」




ば、バカ!?




この学校で学年一位を誇る私がバカですって!?




「あんた、言ってくれるわね。なら、私と勝負しなさいよ!」




「は?勝負?」




「そうよ。今度の中間テスト、私が勝ったらさっきバカって言ったのを取り消すことと、私達に向かって金輪際、暴言を言わないこと!」




「はっ。いいだろう」




碧斗は自信満々な顔でそう言ったが、私には絶対敵わないわ。




「で、俺が勝ったら?」




ーーーーーあ。




や、やばい。




考えてなかった…




バカを取り消すことしか考えてなかった。




何しよう。




こいつにとって得なことって何?




「じゃ、お前らの正体を明かすってことで」




「それでいいわ。私達の正体を明かせばいいの…ね?あ、あれ?正体って…」




1番いけないことじゃん!!




バラしたらいけないやつじゃん!!




うそでしょ!?




「ちょ、ちょっと待って!それ以外!それ以外ね!!えっと、ほら、ここの空き教室の3分の2を明け渡す、とかさ!」




そ、そうよ!これよ!




こいつらに半分以上使われるのは癪だけど、使えなくなるよりはマシだし。




これなら、正体は明かされることはない。




我ながら名案なんて考えていたけど…




「却下。俺らはお前らの正体を知りてぇんだよ。それとも、あれか?俺に勝つ自信がねぇってことか?」




「はぁ!?そんなことわるわけないじゃん!いいわよ、その勝負受けてたつ!」




って、なんかうまく乗せられた?




てか、私がふっかけた勝負なのに、私が受けてたつの?




あれ?なんか、頭がうまく回らない。




既に勝ち誇ったような笑みを浮かべてるこいつに、腹が立って仕方がない。




絶対この勝負、負けられない!
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